1級土木施工管理技士 第二次検定の効果的な学習方法
二次検定の出題形式はほとんどが記述解答方式です。
書いて覚える方法が重要な試験対策になります。
第二次検定の概要
- 受験者は提出期限内に受験願書を提出後、受験資格を審査されます。
- 1級の二次検定は毎年1回、10月に行われます。
- 合格発表は翌年1月に通知され、合格者は1級土木施工管理技士の資格が与えられます。
二次検定の出題形式は
- 総出題数は11問です。その内必須問題は3問、選択問題は8問中選択して4問を解答します。
- 必須問題の問題1(施工経験記述)が無記載の場合は問題2以降の採点はされません。
- 選択問題8問中4問解答は、解答数をオーバーすると減点されます。
合格基準は
- 二次検定の合格基準は非公開です。
- 合格の目安として、経験記述が合格内容である事が最重要です。
- 経験記述以外の学科記述は6割正答を目指して下さい。
試験の制限時間
★二次検定の時間配分と出題数
【必須問題3問中3問解答/選択問題8問中4問解答】
制限時間:2時間45分
※問題数は少ないが、論文作成や1問の解答数が多いので時間はタイトです。
出題分野と出題数
出題区分 | 出題数 | 解答数 | 解答区分 |
---|---|---|---|
施工経験記述 | 1 | 1 | 必須問題 |
コンクリート | 1 | 1 | |
施工計画 | 1 | 1 | |
品質管理 | 4 | 2 | 選択問題 |
安全管理 | |||
法規 | |||
土木 | 4 | 2 | 選択問題 |
コンクリート | |||
工程管理 | |||
安全管理 | |||
合計 | 11 | 7 | - |
二次検定の出題形式は全問記述式、書いて覚える事が重要な試験対策になります。
二次検定は一次検定と違って答は用意されておらず、解答は全て記述式です。
一次検定の4枝択一マークシート方式とは違い、文章、語句や数値などを実際に記述する試験です。
一次検定で学習した知識に加えて、文章や正しい専門用語・数値などを簡潔に記述する能力が求められます。
土木1級二次検定対策のポイント
優先順位1
施工経験記述の作成に取り組む!
①まずは施工経験記述を課題ごとに事前に作成し、
②本番で書けるようになるまで「手で書いて覚え込む事」
経験記述の事前作成と暗記が合格への最重要対策です。
課題は毎年「工程管理」「品質管理」「安全管理」「出来形管理」の内、どれかが出題されますので、前年度に出題されたテーマも含め4課題は、予め自分が経験した施工経験記述を作成し、先輩や先生の添削指導を受けるようにしましょう。
★施工経験記述の記述解答が無記載、あるいはテーマと違った記述の場合、実地試験の採点が行われず失格になります。
[問題1] 施工経験記述
工事概要の作成
【1】工事名
- 工事名は、契約工事名にあまりこだわらず、工事の対象(河川名、踏線名、施設名等)、工事の場所(地区・地先名等).工事の種類等(謹岸工事、舗装工事、基礎工事等)が判るように具体的に記述する(単なる「道路工事」、「河川工事」等では不適当)。
- 土木工事かどうか判定しにくい特殊な工事を取り上げるのは避ける。
- なるべく規模の大きい公共工事を選ぶ。土木工事かどうか判定しにくい特殊な民間工事や個人住宅の造成工事など小規模な工事は避ける。
- 建築物、鉄塔、タンク等の工事の基礎工事の場合は、土木工事であることがわかるように、工事名の後に「基礎工事J等と明記する。
(良い例)
県道○○線○○工区道路改良工事
○○川災害復旧第3期蓋崖工事
○○線道重鉄塔新設工事(基礎工事)
○○市○○地区配水本管敷設工事
○○樹脂工場新築土地造成工事
○○公園広場造成・園路新設工事
【2】 工事の内容
(1) 発注者名
- 「発注者」欄に記入する名称について
- 「工事を最初の注文者から直接請け負った会社B=工事全体の元請業者」の技術者の場合→「工事の最初の注文者名A」を「発注者」欄に記入
- 「元請業者から請け負った会社等=下請業者」の技術者の場合→自社が請け負った工事を注文した「建設業者名」を「発注者」欄に記入
- 自社が1次下請業者Cの場合は「工事の最初の注文者から直接請け負った会社名B」を「発注者J欄に記入
- 自社が2次下請業者Dの場合には「1次下請業者名C」を「発注者」欄に記入
- 発注者の名称は正確に記入する
[悪い例] [良い例] a. 国土交通省 → 国土交通省00地方整備局○○国道(河川)事務所 b. ○○県 → ○○県○○土木事務所 c. ○○男(個人名) → ○○建設(株)
(2) 工事場所
実例としてあげる土木工事が行われた場所の都道府県名、市または郡名および町村名をなるべく詳しく記入すること。
(3) 工期
- 自社が請負った工事の工期を記入する。下請工事の場合は下請け部分の工期を記入する。
- 工期2か月以上の工事を取り上げること(小規模な工事や軽微な工事は1級にふさわしくないので、評価が低くなるおそれがある)。
下請工事の場合であっても、受注してから労務、資機材等の調達の期間を含めて最低2か月以上かかる工事の記述が望ましい。 - なるべく過去1~5年前程度に完成した工事を取り上げ、現在施工中の工事は避ける。古い工事でも10年以上前の工事は避ける。
- 工期は正確に年号と年月日を記入する。
- 施工量との整合性に注意する(施工量が極端に多いのに工期が短いかその逆)。
[悪い例] [良い例] a. 12月~3月 → 平成27年12月1日~平成28年3月10日 b. 25年5月~27年7月 → 平成25年5月7日~平成27年7月31日
(4) 主な工種
- 工事の内容が概ねイメージできるような主要な工種を記入する。
- 概ね施工の順に従った順番で記入する。
- 下請工事の場合は.自社が請負った工事部分に関する工種のみ記入する。
- この欄に施工量を記入しないようにする。
[悪い例] [良い例] a. 道路工 → 路床工、路盤工、アスファルト舗装工 b. 道路改良工 → 道路土工、擁壁工、ボックスカルパート工、法留工 c. 基礎工 → 杭基礎工(PC杭、中掘り工法、オールケーシング工法) d. 擁壁工一式 → 土工、コンクリート擁壁工、仮設工 e. 管路土工 → 管路掘削工、管路土留工、管路埋設工 f. ガードレール改良工 → ガードレール設置工 g. ○○水門改築 → 掘削工、仮設工、鉄筋工、コンクリート工 h. 魚道工) → 魚道ブロック製作工、魚道ブロック設置工
(5) 施工量
- 「主な工種jに記入した工種と整合性のある構造物の規模、材料の種類や規格、施工数量(立積、重量、本数、延長等などを具体的に記入する。
- 単位等を忘れず、かつ正確に記入する。
- 工期との整合性に注意する。
[悪い例] [良い例] a. 掘削土○○㎡、防護柵○○m → 掘削土量○○㎡、防護柵延長○○m b. コンクリート○○㎥ → コンクリート(○○N/m㎥)○○㎥ c. アスフアルト舗装A= ○○㎥ → アスフアルト舗装(粗粒度アスコン)= ○○㎡ d. L型擁壁○○m → L型擁壁H=○○m L=○○m
【3】工事現場における施工管理上のあなたの立場
発注者側の監督員、設計者側の工事監理者、請負者側の現場代理人、主任技術者、工事主任、以上の中から記載する。
●経験記述文章のまとめ方
課題が指定された施工管理項目と合致させる事が重要
(施工計画、工程管理、品質管理、安全管理等)
設問の構成
注意!「工事の概要」と整合性のある記述内容が要求されます
- 「具体的な現場状況と特に留意した技術的な課題」
- 「検討した項目と検討理由及び検討内容」
- 「課題に対して現場で実施した対応処置とその評価」
1. 具体的な現場状況と特に留意した技術的な課題
①記述の構成
「工事の概要」
▼
「課題が生じた現場や施工の状況など」
▼
「留意した技術的課題(解決すべき技術的課題)」
②工事の概要の記述
何のためにどこにどんな構造物を建設するのか、具体的な地名や名称、工事の規模(工事延長、構造物寸法や面積等)を簡潔かつ具体的な数値も入れて記述する。例えば「本工事は○○市の中心市街地において、延長○○mの○○を○○するものであった。」などと記述する。
③現場や施工の状況と留意した技術的な課題」の記述
- 現場固有の特殊性(気象、環境、地形、地質、施工法など)を記述し、施工中実際に遭遇した技術的な課題を一つに絞り、数値等を用いてできるだけ具体的に記述する。
- 具体性のない記述では良い評価は得られない
具体的な記述はどう書くか、例えば
「現場の日平均気温は〇℃最低温度は〇℃であり、…」
「現場は急峻な山岳斜面であり、…」
「平板載荷試験による地盤係数は○○であり、…」
「進入路の幅は〇mであり、能力〇tの○○機械の進入路が確保できないために…」
のように、状況をできるだけ具体的かつ技術的に記述する。
また、施工管理項目として例えば「品質管理」が指定された場合、「○○の品質管理に留意した」と書いたのではどんな品質管理が問題になったのか具体性がなく不明瞭である。
したがって、「厳冬期におけるコンクリートの品質に特に留意した」などと課題の要因となる現場の制約条件についても記述すると説得力がある。 - 課題が指定された施工管理項目(施工計画、工程管理、品質管理、安全管理等)の趣旨と合致しているかを確認する。
2. 検討した項目と検討理由及び検討内容
①技術的課題を解決するための検討理由及び内容が具体的で、かつ、技術的に的確な内容を具体的に書く
この項目に「対応処置」の内容まで書いてしまわないこと。あくまで検討した内容にとどめること。
②課題を解決するための創意工夫や複数の検討事項は箇条書きで記述する
ここでは、検討内容を一つだけに絞り込まず、課題を解決するための創意工夫や複数の検討事項を記述する。
ただし、ただ単に複数の検討項目を単純に羅列するだけでは評価されないので、「検討項目ごとに理由を明記する。(何のために何を検討したか。)」、「なぜ検討項目に選んだのか、その理由」
例: 精度向上工期短縮、施工方法・順序、施工資機材等
「なぜその項目を検討するのか、その内容」
例: 地下水低下工法、掘削士量処理の検討、構造物基礎形式の検討、目標管理値等
「それぞれの検討項目の特徴(メリット、デメリット等)」
「課題解決のための手法と技術基準類との照査」といったことについての技術者としての自分自身の判断や、複数の検討項目のうち課題を解決するのにどういう手法が最も有効と判断したか、比較検討や検討の結果までを記述すること。
3. 「課題に対して現場で実施した対応処置とその評価」
2、で検討した項目と検討理由及び検討内容の中で、実際に現場で採用・実施した手法と効果を具体的に記述する。
「対応処置」の内容を箇条書きで記述する。
課題を解決するのにどういう手法が最も有効と判断したか、比較検討や検討の結果までを記述すること。
施工経験記述作成の注意点(まとめ)
- 工事概要で記載した主な工種、施工量と整合性が取れている記述内容である事。
- 特に留意したテーマ「安全管理」「工程管理」「品質管理」「出来形管理」と整合性が取れている記述内容であること。
- 問題で求められたポイントはわかりやすく箇条書きで記述する。
・現場管理上の問題事項
・問題を解決するための検討事項
・実際に行った対応処置
これらは箇条書きが有効です。 - 文字は上下左右の罫線から、はみ出しがないように記入し、1行の最後まで使いなるべく空白を作らない。
- 乱暴な文字、くせ字は、減点対象となるので丁寧に書くこと。
優先順位2
経験記述以外は「過去問題」に取り組む
経験記述以外の問題は、間違いを訂正させる問題(穴埋め)と留意事項を記述させる問題が出題されます。学習法は、徹底して過去問題の記述解答に取り組んで下さい。
必須問題(問題2~3)
2. コンクリートに関する記述の穴埋め問題。
3. 施工計画に関する検討事項や留意事項の記述
選択問題1(問題4~7)
品質管理・安全管理・法規に関する記述の穴埋め問題。
4つの問題中2つを選択して解答する。
選択問題2(問題8~11)
土工・コンクリート・工程管理・安全管理に関して、工法名や工法概要、留意事項や措置の内容などを選択して記述する問題。
4つの問題中2つを選択して解答する。
解答方法は問題によって違いますが、基本は全て記述解答です。
ここは徹底して過去問題を取り組むことで、傾向や暗記すべき内容がわかってきますので、
過去問題を解く学習を行って下さい。
選択問題は選択数より多く解答すると減点されますので、あらかじめ解答する問題を決めておく事がポイントです。